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住職の想い【第5回】牡丹や芍薬を通して、命や自然の大切さを

牡丹はもちろん、近年は芍薬(アメリカ芍薬)でも注目されている石光寺。牡丹や芍薬を通して命や自然、四季の大切さを感じてほしい。

牡丹はもちろん近年は芍薬でも注目される石光寺

まずは牡丹を通してお寺に集まってもらうということですね。それと芍薬(しゃくやく)。ハイブリッド芍薬という、芍薬と牡丹の合いの子もあります。

芍薬は先代が、アメリカ人の弁護士さんとの交流をきっかけに始めたんです。その方は、趣味で牡丹とアメリカ芍薬を植えていました。あるとき、水俣病の研究で来日されましてね。それで通訳の人に、いい牡丹の植えている所はないですかと。こう聞いたんでしょうね。それで石光寺に連れて行ってあげるよということになったそうです。

先代は英語は話せないんですが、通訳の人がいましたので。それで妙に意気投合しまして、その方、スミスランディさんという方が「アメリカに招待するよ!」ということになって、冗談だと思っていたら本当に招待してくれたそう。

それで夫婦でアメリカへ行きまして、アメリカ種牡丹に初めて接して、とてもびっくりしたらしいです。日本の牡丹とはちがうけれど、変わった姿の牡丹だったと。それからもっとびっくりしたのが芍薬。日本にも古来からあるけども、日本では見たことのないような、真っ赤な芍薬。これがいわゆるアメリカ芍薬というものなんですが、そんなに感激するんだったら分けてあげようかということで、アメリカ牡丹と芍薬の株をたくさん送ってもらったことがきっかけ。

でも、アメリカ種の牡丹は珍しいんですけど、日本人にはウケないだろうと思っていたそうです。つまり、ふくよかな牡丹を見ている日本人からすると、アメリカの牡丹は貧相だと。でも色合いが面白かった。

一方で、アメリカ芍薬は凄いと。日本の芍薬にはない鮮やかな色で、これがちょうど牡丹が済んだ後にバトンタッチで咲くものですから、先代が一所懸命、世間に知ってもらおうと努力していました。でも当時は評価されなくて、振り向いてもらえる時代ではなかったんです。

牡丹が終わっているならしょうがない。芍薬を見にきたのではないからまた来ます、と。それで見ないで帰ってしまうんです。そして見た人も「こんな芍薬は初めて見た!良かったわー!」とはおっしゃいますが、それで終わり。また来るとか、人を連れて来るということもなくて。結局、先代がアメリカ芍薬を植えてから、30年ほど鳴かず飛ばず。私も同じように人に紹介していますが、まあ「アカンねー…」というやつです。ただ、ここ最近になってちょっとだけ様子が変わってきました。NHKの方が牡丹のつもりで取材に来たのですが、牡丹はちょうど終わっていましてね。それで芍薬があるなら、じゃあそちらでということで取り上げていただきましたら、すごく反響があってお客さんがわっと来たんですよ。

それともうひとつ。近鉄沿線の駅の「花だより」に芍薬の一覧を設けてもらいました。チラシをたくさん置いていただいて。それで石光寺の芍薬というものが浸透したんです。

種苗の業者さんでも、芍薬を大きく扱うようになってきまして、それくらい世間で芍薬というものが見直されてきました。今はハイブリッドも含めて芍薬が、わりと評価されていて、芍薬のお寺だと認識されている方もいます(笑)

石光寺のお花を通して命や自然、四季の大切さを感じてほしい

先々代は牡丹を中心として、歌人や俳人、茶人といった文化人を集めることが好きでした。とは言っても、商売で人を集めるために牡丹を利用したということではなくて、自分の好きな牡丹を皆で共有して、いろいろやっていこうというやつ。その集まりのなかに、ことあるごとに牡丹が登場するんですよね。

でも先代は、牡丹を通して人を集めるというのは、結果として集まったのであって、やはり花そのものが好きでした。花を育て、牡丹を育て植えることが好き。最終的には人にいきつかないで、植物の世界にとどまっているということ。どちらがいいとも私は言いませんが、どちらかというと、私は先代のスタイルに近いかなと思います。ただ共通して言えることは、先々代も、先代も、そして私も、やはり花が好きということ。

そして私の場合は花はもちろんですが、樹木というものがものすごくいいなと思うようになりましたね。樹木があって、それが大きくなって、緑の葉っぱをつける。そしてその葉っぱが涼しい木陰をつくってくれて、その横で牡丹の葉っぱが大きく育つんです。だから樹木は、もっともっと大きくなってくれるのがいいんですよね。

木なんて葉っぱが落ちるし、手がかかるばっかりですから、切ったほうがいいと言う人もいますけど。私はそれは当たり前のことだと思うんです。やっぱり木はなくちゃいけない。だからウチは、木をいっぱい植えています。牡丹と木って、うまく共生しているんじゃないかと思いますよ。背の高い木の横にある牡丹というのは、葉が焼けないでうまいこと育っています。だから境内に木があり、牡丹があり、緑の風が吹いているような、そういうふうな雰囲気の境内にしたいですね。やっぱりホっとするでしょう。生命の息吹、まあそこまで言わないにしても、そういうものを感じながら境内に入ってくると、ちょうど正面に阿弥陀さんが座っておられる。そして、牡丹を見て良かったなーと思う。そうやって牡丹という生きものを通して、仏教の教えに少しでも触れていただければと思います。命の大切さ、自然の大切さ、春夏秋冬、日本の四季というものは本当に美しいですからね。この四季を壊さないように、自然を守らないといけない。そういう気持ちを抱いて帰っていただけるような、そのようなお寺にしていきたいですね。

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